Wikiに見る日本の心

先日、芝居の衣装を担当して、安くあげたかったので頂き物の古い着物をほどいて作務衣風のものをなんとかしてでっちあげた。着物の縫い目をリッパーで切りほどいていくと、袖、身頃、襟などに分かれるのだけれど、極力、反物の幅を活かして、端は畳んで、変なところで切らずに仕立ててあるのがわかる。大小の長方形の布がいくつもできたのを見ると感動。ほどいて仕立て直すのが前提のつくり。和裁ってすごい。

体のラインに合わせて仕立てる立体裁断でできたドレスは美しい。デコラティブでセクシーで芸術的。それに対して、決まった形の布でどんな体型でも凹凸をならして包もうとする思想で発展した和裁は、なんかもう服と言うよりも、風呂敷とかの存在に近い。長方形でない変な形の端切れを出すなんてもったいない。とんでもない。元に戻せない使い方はしないのだ。

で、ここまでは前置き。一般の閲覧者が自由に編集できるwikiというものがある。WikiPediaが有名だ。wikiの使い方で、日本人は、自分が編集するとき過去の文章を極力消さずに、取消線などを引いて、残しておく傾向にあるらしい。それをもって日本人は自分の書き込みに全責任を負おうとせず、いつでも消せるようにしているのだという論を読んだ。違うんじゃないかしら。元に戻せない使い方はしないということではないかしら。たとえそのシステムでバージョン管理の機能があって実は取消線などで残しておく必要はなかったとしても、日本人なら見た目に残すのだ。それが美意識。きっと。

などと。今思いました。

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